読書百冊意自通ズ覚書

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#049 マイ・ロスト・シティー
 頭の「フィッツジェラルド体験」で、本書の訳者・村上春樹がいかに優れた評論家でもあるか、証明されているように思う。
 作品を読む前に、その内容に驚かされ、感心させられてしまった。
 むろん、タイトルに「体験」とあるように、極めて個人的な体験に基づいての記述で、それは「ある作家が読者を魅了する」という、作家の作家に対する憧憬の告白的内容であり、正確には評論とは言えないかもしれない。しかしながら、その内容は平凡な書評を凌駕する。
「フィッツジェラルドの小説世界」は、訳者自身が読者という立場で書かれているため、我々と同じ視点で読むことができるし、またその文章が「作家」である著者の巧みな表現により、読みやすく、興味深いものとなっている。
「フィッツジェラルドの小説世界」と「作品と生涯」のフィッツジェラルドについての解説は、こちらも評論家顔負けの内容になっている。表現はわかりやすく、ある種の小説の一節のように巧みである。
 作家である訳者が、「いったいその中の何が僕を魅きつけるのか」を「自分なりにただ掴」むために「虫めがねで覗くように文章を調べあげた」だけのことはある。ここに、研究者、もしくは評論家としても、村上春樹がたいへん優れた作家であることが明らかにされていると言えよう。

 収録された六つの作品すべてについて書き連ねることはできないので、心に残ったものを取り上げてみる。

「氷の宮殿」
 一番まっすぐ心魅かれた作品。
 主人公サリー・キャロルの中に棲んでいるという「一種のエネルギー」がとてもよく感じられ、その明るさ、あどけなさもよく伝わってきた。それと同時に、太陽に包まれた南部と、氷と吹雪きに囲まれた北部との対比が非常にうまく表現されている。
 太陽のようなサリー・キャロルがどうなってしまうのか、いつ南部に帰りたいと言い出すのか、息をつめて読み進め、サリーが氷の宮殿で一人迷子になって置き去りにされた時、もうだめだと思った。そして救出された瞬間、「家の帰りたい!」と叫び、「明日よ!」と何度も繰り返す彼女の言葉にほっとさせられた。
 サリーの心は「ハリーの心臓が凍」るよりもずっと前に、北部の雪と冷たい周囲の視線に凍てつき、とうとう粉々に砕けてしまったのだ。

「失われた時間」
 一体どんな話なのか、見当もつかなかったけれど、読み終って確かに「失われた時間」についての物語だったと感じた。

「アルコールの中で」「マイ・ロスト・シティー」
 この二作品は、特に「後ろ髪を掴むように読者を引き戻していく」タイプの小説だと思う。「マイ・ロスト・シティー」は、背後に絶望の断崖を感じながらも、「厳しい現実を直視しつつ、なんとかそれを乗り越えていこうとするフィッツジェラルドの姿」が垣間見える。
 太宰の「富嶽百景」などを彷彿とさせるが、そのどちらも作家の末路を思うとき、後世の読者としては言い知れぬ思いを抱かざるをえない。
December 12, 2002 
|K | [Foreign]S. フィッツジェラルド |comments(0) | trackbacks(0) |
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